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Cloudy――朝焼けの空
こんにちは。此処はKの運営するブログです。ポケモン系なりきりチャット「カフェパーティ」を知らない方、なりちゃ成分に抵抗がある方はブラウザバックを推奨します。

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眠りから覚めた白猫のお話 20110305

実はちびちび書いていたんだけど、なかなか完成に至らなかった。
地震ということでようやく暇が出来たので一気に書き上げました。
シロ主観で、助けられた後の零やエヴァンスの住む世界での出来事。
























長い眠りから覚めたような気分だった。丁度、全身麻酔から覚めたような、そんな気分。頭がぼーっとして回転しない。何故今真っ白な天井が見えているのか。それすらも、どうでもよくなっていた。
「…お目覚めでしょうか」
初老の声が聞こえた。視線だけをそちらに動かして、ベッドの中で彼を見た。初老の執事らしき人物がホットミルクティーをカップに注いでいた。
「…ここは」
「エストリア王国の首都、エストリアヌスにございます。エストリア城でございいます」
穏やかな視線がシロへと向けられる。動くのもなんだか怠い。そう思いながらも上半身を動かして持ち上げる。
「随分とお疲れのようだったので、兄様と一緒にエヴァンス殿がお連れになりました」
「エヴァンスさんが…」
昨夜の事は全く覚えてはいない。それどころか、数日間の記憶が無いようだった。ミルクティーを受け取り、口へと運んで絶妙な甘さに思わず微笑んだ。
「随分とお疲れなようでしたので、こちらでお休みして頂きました。…まさか、夜明けと共に目覚めるとは思っておりませんでした」
「僕は一応…若いですから」
この執事に自分がラティオスであることは伝えなくていいだろう、と思ったので言葉が少し濁った。執事さんはどうやらそのことに気づいていないようだった。
ミルクティーを飲み一息ついた後、執事さんに服を用意してもらった。エヴァンスの物であるという服は、どうやら仕立てはよかったものの実際に着るとかっこよさよりも可愛さが強調されるようなものだ。これがエヴァンスの物とは考えにくい。水色なんて初めから着るのがきっと僕だとわかっていて零が用意したのだろう。そんなことを着替えた姿を鏡で見ながら思った。白い髪と尻尾と獣の耳がマッチしているようだった。
執事さんに話を聞き、エヴァンスさんの元へと向かう事にした。どうやら朝食を食べる前の運動をしているとの事。話を聞けば城からそれほど遠くない場所だというので歩いて向かう事にした。
城の周囲には森が広がり、様々なポケモンが生活していた。そんな姿を見遣りながら、ふと自分が今まで居た城を振り返る。西洋風の城で、凛々しいデザインだった。シロ達の住む世界より文化が違うため、このような城はなかなか見る機会が無い。そんな異文化に触れるのも楽しみの1つだ。
更に進むと、森の中にぽっかりと空間が開いていた。木々が生えておらず、静かなその空間は背の低い草に日の光が煌々と照らされている。その中でフィアンマに乗ったエヴァンスが剣を抜いたのを見た。彼の視線の先には、借りたであろうギャロップに跨がるクロの姿があった。クロもどうやら服を借りたらしい。エヴァンスが着る軍服を特注で黒く染めたものに違いなかった。そんないつもと違う雰囲気を醸し出す彼もエヴァンスに続いて剣を抜く。
「やぁ、シロ」
異国の言葉でおはよう、と続ける零の穏やかな笑顔もそこにあった。
「おはようございます、零さん」
あれは?と僕は向かい合うエヴァンスとクロに振り返りながら彼に問う。
「うん、模擬戦だよ。一応寸止めだけれども、それ以外は本気でやるって…そう言ってた」
「そうですか…」
お互い戦闘に縁の無い二人は戦士である二人の集中力にただただ飲み込まれていた。
隙を見せれば刹那、決着が着くのが剣術だと言われている。違いに隙を見せず、相手の隙を伺うためにじりじりと間合いを詰めていく。
クロが狼だとしたら、エヴァンスは鷹のような雰囲気を持っている。お互いに人を殺めるだけの力を持った人間だけが持った獣のような、鋭くピリピリとした集中が伝わって来る。
そしてクロが動いた。ギャロップを前へと突っ込ませ、剣をエヴァンスへと振り下ろす。渇いた銀の音と共に剣でそれを受け止め、エヴァンスが押し返し間伐入れずにクロの腹へ突きを出す。クロはとっさにギャロップの背の上に居るとは思えない身のこなしで剣を避ける。漆黒の翼が剣に掠め2、3枚が散った。
時間にして数秒の攻撃で青ざめる零。寸止めでありながらここまで激しいとは思ってなかったのだろう。手で顔を覆って自らの弟の名を呟いていた。
手数や身のこなしでクロが微かに上回っていたが、エヴァンスは騎士であるだけあって経験でその差を埋めていた。クロを襲う的確な剣は、防御というよりも身体能力で避けているに過ぎない。すなわち、相手が並の実力なら何度も死んでいる。
開始からまだ1分と経っていないが、決着がついた。剣が弾き飛び、地面に突き刺さる。今だに剣を持ち、相手に剣先を突き付けているのはエヴァンスであった。
「…見事だ。流石は騎士だな」
「クロこそ。とても初めてとは思えない動きだった。…何度もひやりとした」
エヴァンスが剣を下ろし鞘へと戻すと、フィアンマから下りて一礼する。クロも追って一礼を返した。
「はぁ…ドキドキした…!」
零の口から言葉が漏れた。それにこくこくと頷く。
訓練を終えた二人がゆっくりと戻って来る。
「朝から良い訓練が出来たな。…そういや、そろそろ腹も減った」
「じゃぁ、朝食にしようか?」
エヴァンスが微笑んで言った。

黄金に輝く蜂蜜のたっぷりと掛かった柔らかいパン、朝に収穫されたばかりの野菜をたっぷりと使ったサラダ、温かなコーンスープとミルク、そして目玉焼き。無駄に長い机で4人で朝食を取ることとなったのだが、その3倍は城のメイドさんが見ている事にシロは内心ドキドキしていた。
「…城を見て思ったこと?そうだな、どうやったら攻め落とせるか考えていた」
「さすがクロって所だね。着目する場所が違う。どんな風に攻めようと思ったんだい?」
「いや、難しいだろうなと思った。この城は相手にしたくねぇよ。…強いて言えば、やはり翼を持つポケモンで城を強襲するしかないかな、と…」
エヴァンスは王子様だし、零さんもこの城出身なのでこんな雰囲気は日常なのかな…シロは二人の手元を眺めながら思う。スプーンとフォークの数は多かったが、二人のをこっそりと見ながら使うようにしていた。だが、当然それに集中してしまえば、比例するように口数は減っていく。
「それにしても、クロは意外とこういうテーブルマナーは知ってるタイプなんだね。ちょっと意外だったかも」
零が目玉焼きをくわえながら言う。
ちょっと失礼な気もしたが、クロはそんな事を笑い飛ばした。
「まぁ、俺の手持ちがそういうの厳しいんだよ。俺達の手持ちである以上、それなりの振る舞いをしろってね。それで覚えた」
「あぁ、なるほど…」
「それでなくとも、一国の代表ともなるなら必然的にそんなものは覚えるけどなー…」
クロがパンを契りながら言う。
「隣の国の偉い相手と話したりするのは苦手だ。外交なんて、タイプじゃない」
「クロは後先考えずに走りそうだしね。…きっとそれを抑えるそれなりに優秀な参謀が要るんだろうね」
エヴァンスが珍しく横から茶々を入れる。クロも渋い顔でそれに応対。
そんな中、僕は。
「ねぇ、あの白いねこみみ本物なのかなぁ…尻尾も揺れてるし、本物みたい!女の子みたいだよねぇ…!」
メイドさんがひそひそと僕を噂する声をねこみみが拾っていて、恥ずかしくて顔から火が出掛けていた。

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プロフィール
HN:
年齢:
34
性別:
男性
誕生日:
1990/04/05
職業:
大学生
趣味:
野球・ポケモン
自己紹介:
Kです。
いろいろ生真面目な事を書くと疲れると思うんで、箇条書きでいいですか?いいですよね。

・野球とポケモンが好きです。
・野球はキャッチャーやってました。ミットを持つと人間が変わるとよく言われます(笑
・ポケモンはラプラス、バクフーン、ラティオス辺りが好み。
・すごくカッコイイかすごくカワイイが好き(笑
・カフェパのプロフナンバーは4。
・芸能人の三浦春馬と全く同じ日に生まれる。雲泥の年収差があってちょっと泣ける←
・音楽も好きです。
・好きなバンドはBIGMAMAとBUMP OF CHICKEN。
・他にも色々ありますが、一番好きなのはこの2つ。


こんなやつです。仲良くしてやってください。
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