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Cloudy――朝焼けの空
こんにちは。此処はKの運営するブログです。ポケモン系なりきりチャット「カフェパーティ」を知らない方、なりちゃ成分に抵抗がある方はブラウザバックを推奨します。

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強さを求めて(20110620 深夜)

夜中、ドンが案内されたのは彼らの住むロックフォールという場所だった。
岩壁をくり抜いて造られた軍施設で、周囲には岩肌意外何もない。主に岩や地面タイプのポケモンが配属されている。特に新人の教育が行われる場所でもあり、軍に入隊したサイドンやバンギラス、ボスゴドラの姿が目立った。
夜は眠りにつく時間だが、悪タイプを併せ持つバンギラス達は歩哨に立ち、オーガとギディオンの姿を見るや否やすぐに敬礼と直立不動の姿勢を取った。
「二人は軍関係者だったのか……」
「あぁ、俺は籍を置く軍は違うけどな。昔はオーガと同じ、この部隊のなかなか上の地位に居たよ。」
ドンの些細な疑問に答えたのはギディオンだった。オーガは寡黙であり、静かに歩くだけで殆ど話さない。どうやったらそこまで大きくなれるのかとか、そんな話をしてみたかったが初対面を相手にそこまで質問する勇気はなかった。何だかんだ言っても、その初対面の相手に誘われて霧の向こうの世界まで遊びに来てしまったわけなのだけれども。
「ここだ」
オーガに連れられてやってきた場所は、屋外の競技場のようだった。大きなトラックが見える。
「ポケスロンかよ」
「新人のトレーニングだ。いきなり俺達と同じ訓練では少々負荷が強すぎると思ってな」
「ポケスロン…って何だ?」
ドンがきょとん、とした表情で二人を見上げて首を傾げる。そんな彼に対し、オーガは腕を組み士官らしく語る。
「言わばポケモンの競技大会のようなものだ。通常はトレーナー1人に対し手持ち3匹で行うスポーツに値するもの。しかし、我々は新人の軍人の育成に対して使っているのだ。個人競技とし、負荷を強めてより強くなって欲しい。」
「なるほどな…」
理屈より、まずは試してみた方がいい。オーガの一声でドンがスタンバイし、それにギディオンが続く。
「…待った、ギディさんが俺の相手をするのか?;」
「何か問題でも?」
にやりと笑ってギディオンが答える。そもそも体格が2倍以上違う相手とどう戦えと!そう言いたかったが、ここまで来て泣き言は言うまい。強くなるためだ、と覚悟を決めた。
ステージは岩肌をくり抜いた比較的狭い四角形の窪地だった。狭いと言っても一辺は15メートル程あり、比較的広くはあるのだろうが、如何せんそこに8メートルはあろうバンギラスが入る。圧迫感で狭く感じるのだ。
「手始めにリングアウトファイトだ。技の使用は禁止とし、全力で相手を壁まで吹き飛ばせ。それだけだ!」
初めぇっ!オーガの一声で檻でのデスマッチが始まった。
咆哮と共に飛び出していったのはドンだった。不意を突かれたかのようにドンを受け止めるギディオンだが、しかしそれでも彼の前進は止まらずにとうとう背後の壁に背中から衝突し岩肌が大きく崩れた。
「よし!」
ドンが軽くガッツポーズし、すぐにオーガの「有効」の判定。ギディオンの瞳が鋭くドンを睨みつけた。
「…良い力を持っているな。来い!」
再び巨大なものが衝突音を上げる。ぐ、と力が均衡しお互いに微動だにしない。直ぐにドンが一度下がり、フェイントを仕掛けてギディオンを前へとつんのめさせる。はっ、と体重移動を完了させる前にドンのタックルでギディオンは面白いように飛ばされ再び岩肌に突っ込む事となる。そしてこれも立派な「有効」の判定だ。
「…セコいな」
「勝つためならなんでもしてやる!」
そして再び衝突音。今度はギディオンが前へと出た。ぐ…と呻きのような声を上げるのはドンの肺から押し出された酸素によるもの。ギディオンは自らの半身を預けるかのようにドンへと巨体を前へと出す。少しでも退こうものなら一気にプレッシャーと力に負けその場に崩れ落ちるか壁に背中を押し付けられるかの二者択一だ。この姿勢では力を緩めることもできず、顎を引いたまま呼吸もできない。それでも身体は酸素を求める。ドンは顔を初めは真っ赤にして応戦していたが、その表情はやがて青くなっていく。チアノーゼ、と呼ばれる状態だ。酸素欠乏状態。無呼吸で酸素が足りないために顔が青くなるのだ。
「が、はぁ…!」
そして、酸素を求める要求に負けた瞬間、ドンは吹き飛ばされていた。豪快に背中で岩肌をえぐるとぐったりと膝を着いた。こうなってしまえば、身体に力を入れることすらままならない。必死に応戦してもギディオンの巨体を押し返すどころか、玩具のように投げ飛ばされるばかりだった。
最後は規定の時間まで立っている事ができずに、オーガに抱えられてリングの外に出た。
ようやく回復し、ドンはギディオンを睨みつける。
「くそ、あんなの有りかよ…!」
「有りだ。耐えられないお前が悪い」
あまりの正論に言葉も出ない。悔しかった。体格差があるとはいえ、負けたのは事実だった。
「…心肺機能や筋肉の増強はドンのこれから次第と言ったところだ。今日はデモンストレーション。相手も鬼のように強いヤツだった。ここまで完膚なきにやられると、世界は広いと実感するだろう?」
ドンは素直に頷く。
「でも大丈夫だ。そのうち強くなる。…さぁ、戻って休もうか明日もトレーニングだ」
オーガの言葉にドンは頷いた。立ち上がり、広場を後にする。岩をくり抜いたオーガのための部屋にお邪魔し、夜はこの辺に生息するドラゴンの肉を喰った。巨大なそれをたらふく喰った後、これこそがまさに俺達の身体を作るエネルギー原なのかもな。と教えてもらい眠った。
翌日も、何度も大地にブッ倒れるほど過酷なトレーニングを受けたのだった。

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プロフィール
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年齢:
34
性別:
男性
誕生日:
1990/04/05
職業:
大学生
趣味:
野球・ポケモン
自己紹介:
Kです。
いろいろ生真面目な事を書くと疲れると思うんで、箇条書きでいいですか?いいですよね。

・野球とポケモンが好きです。
・野球はキャッチャーやってました。ミットを持つと人間が変わるとよく言われます(笑
・ポケモンはラプラス、バクフーン、ラティオス辺りが好み。
・すごくカッコイイかすごくカワイイが好き(笑
・カフェパのプロフナンバーは4。
・芸能人の三浦春馬と全く同じ日に生まれる。雲泥の年収差があってちょっと泣ける←
・音楽も好きです。
・好きなバンドはBIGMAMAとBUMP OF CHICKEN。
・他にも色々ありますが、一番好きなのはこの2つ。


こんなやつです。仲良くしてやってください。
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