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Cloudy――朝焼けの空
こんにちは。此処はKの運営するブログです。ポケモン系なりきりチャット「カフェパーティ」を知らない方、なりちゃ成分に抵抗がある方はブラウザバックを推奨します。

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SS.キュリアス訪問記


私はキュリアス。キュウコンだ。
普段はまだ幼さの残る齢18歳のトレーナー、ルビーと共に毎日を過ごしている。
彼女は私に優しく、時折頼られる。そんなどこにでもあるトレーナーとポケモンとの関係だが、私もルビーが大好きで特別な存在だ。
と、声を出すことは恥ずかしくてとてもじゃないが出来やしない。だが、彼女もきっと言われてみたい言葉だろう。


「キュリアス、いいお湯だったねー」
「……うむ」
「シャンプーがあると、もっと良かったんだけど……」
今居るのはルビーの家があるサンタウンではなく、クロの世界だ。元々戦争をしていたような場所にシャンプーは期待できない。ルビーもそれを知っているかのように、しかしそれでも残念そうに呟いた。
クロの住んでいるという、元々基地だった施設は広かったが人気は少なかった。ちょうど霧を抜けた辺りで夕暮れになりかけていたので、少し早い風呂に行ったのだ。
少し歩いたところに、島と同じように自然の温泉があるのでそこに向かった。ルビーはいつものように私を洗ってくれた。そして、若干熱めのお湯に悪戦苦闘していた。
クロはその間に夕飯の下拵えをすると行って建物に残っていた。
今は肌寒い中、ルビーと共に建物へと戻る最中だ。
「ねぇキュリアス。あたしと同じくらいの子供がやる戦争って、なんだかイメージ沸かないな……」
「……私は戦争そのものが良く解らない」
「そうだろうね。あたしだって、正直何でクロが銃を背負ってたりするのか、わからないもん」
今や戦争も終結し、平和になりつつあるこの世界。半年前はこの場所にも何千人という少年達とそのポケモン達が敵の攻撃に震えていたのだろう。
その事実は私やルビーを否応無く考えさせる。
クロは戦争の理由を「生きるため」と言っていた。そしてその口調は誰よりも戦争の事を知り、それを憎んでいるように思えた。
「……解らないかもしれないが、考える事を止めてはならない。考え、戦争に対して1つの考えが持てれば、クロが今生きている理由になる」
私はそのように結論付けた。
ルビーは私の頭をそっと撫でて、肯定の短い言葉を呟いた。



「ただいま、クロ」
「おう、おかえり。どうだった?俺の世界の自然は」
「真っ暗で何も見えやしなかったよ。 まさか、本当に松明持ってお風呂行くなんて思ってなかった」
ルビーの言葉にクロは苦笑した。
この辺りは私は光を感じる目を持っていないので何とも言えない。
話を聞きつつ、部屋の奥にある暖炉の傍に寄って体を伏せた。
「でも、空気が凄く綺麗なのは感じたなー!あと、空の星!サンタウンで見た時よりずっと綺麗に光ってた!」
「そうだろう!この自然はどの世界にも負けないと自負してるからな!」
少し興奮気味に話すルビーにクロも満更ではないようだ。



夕飯は、あまり食べたことの無い味の肉をふんだんに使った肉料理だった。
普段はポケモンフーズを食べる(ここだけの話だが、ルビーは普通のポケモンフーズより2ランクは上の高級品を私達に食べさせる。また普段からコンディションをよくするためにポフィン等も食べさせてくれるのだ)のだが、このような肉料理は嫌いではない。
だが、ルビーはあまり口に合わないようだ。
「……あんまり美味くないか?」
「ううん、美味しいよ。ただ、味に慣れてないだけで」
「これは竜の肉なんだぜ?」
ルビーは驚いたようにその言葉を反芻した。
「そう。まぁアレだ。ポケモンで言うミルタンク的な竜がこの世界には」
「クロ、食事中だ」
ルビーの気持ちを考えない発言に思わず突っ込んてしまった。後悔はしていない。
クロも素直に謝ると、ルビーは改めて話題を出した。
「今此処にはあたし達だけなの?」
「いーや、何人か居るよ。……しかし、なんでだ?」
「うぅん、別に……何でもない」



食後、私達は部屋へ戻った。
その道中に一匹のキュウコンと擦れ違うが、クロも私も気付かないふりだ。なぜなら、それはルビーにとって気づけない存在……つまり、幽霊だからだ。
「クロ、気付いたか?」
「知っている。……だが、ルビーには言わないほうが良い」
ごもっとも。
小声で話す私達にルビーは怪しんだように声を掛けたが、ごまかすことに成功したようだ。
「あ、コールド」
「おう。さっきの話の続きを聞こうと思ってな」
さっきの話、というのはカフェで話した私の昔話だ。
先に入室していたコールドを感じると、そちらへと一礼した。

今年で1300年と30年を生きるキュウコンが居る。私はそのキュウコンを慕っていた。しかし、ある時人間がファイヤーを狙い私達の居る灯山へ入って来た。そもそも私達の住むべき場所はそのような存在が訪れる事はない。故に彼女は強い邪念に晒され、弱った。私達は途方に暮れたが、彼女が昔私に教えてくれた霊薬の存在を思い出した。霊薬を持っているのはアブソルであり、無論それをただで譲ってもらう訳にはいかない。だから私は光を失う代わりに彼女を救ったのだ。
と、簡単に説明したつもりが随分と長くなってしまったらしい。途中から飽きて、ルビーとクロは利き耳を立てていれば、竜伝説の話なんかを別に話していた。最後まで聞いていたのはコールドだけだ。

「……興味深い話をありがとう、キュリアス。また君の世界にも行ってみたくなった」
「礼には及ばない。また、機会があったら案内しよう」

コールドは一礼し、部屋を出て行った。どうやらこの後も仕事があるらしい。
話で盛り上がっているクロとルビーを横目に、私はベットに伏せると瞳を閉じて、眠りについた。

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プロフィール
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年齢:
33
性別:
男性
誕生日:
1990/04/05
職業:
大学生
趣味:
野球・ポケモン
自己紹介:
Kです。
いろいろ生真面目な事を書くと疲れると思うんで、箇条書きでいいですか?いいですよね。

・野球とポケモンが好きです。
・野球はキャッチャーやってました。ミットを持つと人間が変わるとよく言われます(笑
・ポケモンはラプラス、バクフーン、ラティオス辺りが好み。
・すごくカッコイイかすごくカワイイが好き(笑
・カフェパのプロフナンバーは4。
・芸能人の三浦春馬と全く同じ日に生まれる。雲泥の年収差があってちょっと泣ける←
・音楽も好きです。
・好きなバンドはBIGMAMAとBUMP OF CHICKEN。
・他にも色々ありますが、一番好きなのはこの2つ。


こんなやつです。仲良くしてやってください。
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