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Cloudy――朝焼けの空
こんにちは。此処はKの運営するブログです。ポケモン系なりきりチャット「カフェパーティ」を知らない方、なりちゃ成分に抵抗がある方はブラウザバックを推奨します。

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SS.その日の夜


彼らが嫌っているのは人間の全てだ。


過去に創り出し、研究結果とやらでよろしくない者はその場で捨てられ、良かったものも人間の奴隷のように扱われる。
惨めで悔しかった。人間の思うがままに操られる事もだが、それ以上に自分自身の力の無さに頭に来た。
しかし、人間は欲望に駆られすぎたのだろう。
何時しか研究はエスカレートし、それに比例するかのように俺達も数を増やしていく。そして更に人間に対する恨みは増えていった。
同志は多かった。俺達のような過去が無くとも、人間の馬鹿な争いに巻き込まれたもの――直接脚を吹き飛ばされたものも居れば、最愛の家族を吹き飛ばされたものも居る――は探せば俺達の予想を遥かに超える数が居たのだ。
我々はついに決起した。
我々は積年の恨みを、この腕に、この牙に、この翼に込めて人間の研究する施設を襲ったのだ。
「……あの時、俺達は1つだったんです」
声が洞窟の中で響く。
篝火が爆ぜる音と共にそれへと薪を放り込むのは、真っ白なニドキング。
「人間は弱かった。人間と共に過ごしたポケモンも、また弱かった。彼らを殺せただけで、俺達は満足だった……しかし施設の中で、貴方と出遭った。これ以上の奇跡があるでしょうか」
「……私も施設での生活には、飽き飽きしていたところだ」
ニドキングがその呟きに驚いたように目を見開いて、振り返る。
振り返った先に居るのは、ミュウツーだった。彼は手ごろな大きさのそれに腰をかけて、ニドキングへと視線を向けた。
「君達が望むのなら、私も喜んで力を貸そう」

 

「コイツは……間違いない。今大陸で戦争を巻き起こしている張本人じゃないか!」
「殺せ、この場で殺してしまえ!」
「そうだ、殺せッ!」
白いゲンガーがその夜連れ帰ったのは、特徴的な漆黒の翼を生やした青年だった。完全に意識を失った状態で、我々の元へとやってきたのだ。
もちろんこの場で殺す事も可能だ。だが……
「いや、我々だって群れのリーダーを奪われれば……その下の者たちは少なからず動揺するだろう。人間だって、同じだ。 コイツは殺すにはまだ早いだろう」
私の提案に、白き者たちは暫し目を合わせていたが一先ず納得した。
「一先ず戻り……人間を殺すための作戦を練ろう。 頭を使えば、コイツだけじゃない……もっと多くの人間を殺せる」
にやり、と笑みを浮かべる私の姿を見て同志達も不敵な笑みを浮かべた。
私が彼を抱え、一歩を踏み出し洞穴へと戻ろうとした瞬間だった。
足下に広がる草木が、夜空に浮かぶ星が――全て一瞬で黒に塗りつぶされる。
同志達は状況の理解に苦しんだようだが、此処は元居た森ではない事は理解できた。
刹那放たれる斬撃。死角からの攻撃だった。私は回避どころか、脚を動かす事すらできない。それでも立っていられるのはこの攻撃が私を意図的に避けたものである何よりの証拠だ。
このたった一撃で、同志は半数近くが赤を撒き散らし消えた。運が悪かった者、なまじ身体の頑丈なものはその一撃だけでは死に切れず、巨大な傷口の開いた場所を押さえて呻いた。
それも次の斬撃で耐える事などできる筈も無く、身体を2つに切られ散っていく。
そこで初めて私は悟ったのだ。
その攻撃の主が神である事を。
「その青年を返してもらおうか」
私の目前に現れたのは、体中を紅く染めたオリジンフォルムのギラティナであった。
彼から放たれるプレッシャーを受け、私は返答をする事すらできなかった。
しかし彼の死角から奇跡的に動ける同志の誰かが、冷凍ビームを放った。
「……まだ抵抗するか」
腹の底に響く声を聞くと同時、冷凍ビームは時が止まったかのように静止し、その色を漆黒に染めて砕けた。
散ったそれは自らの意思を持つかのように、時が巻き戻ったかのように発射した我が同志へと舞い戻り、幾千もの欠片が突き刺さる音と共に同志を肉片とした。
「……グ!」
私は逃げる事すらできず、次の瞬間には彼の長い紅と灰の身体に巻かれていた。
「……問う。何故クロを狙った?」
青年の名前はクロというらしい。だが、私は身体に掛かる圧により呼吸すら難しかった。
答えられる筈が無い。
だが、答えなければ私の命は無いだろう。
必死に私は自慢の尾と太い腕に力を込めて圧を振りほどこうともがく。
「人間に……復讐するためだ……!」
「……それだけか」
「あぁ……ッ!」
その問いを聞いた彼は、詰まらなさそうに鼻を鳴らし力を更に込めた。
抵抗も何もあったものではない。私は最期に私自身の鋼のような皮膚と背骨が粉々に砕ける音を聴いた。

「……私はな、人間の戦争やお前たちの妬み、恨みとは違う次元に存在しているのだ。だから、何を言おうと関係は無かった」
ぴちゃり、ぴちゃり、と身体の隙間から先程まで会話していたものと思われる血が、私の発生させている重力に従って下へと落ちる。身体の力を解けば、ごっそりと肉と骨とが落ちて何も言わなくなった。
それでも彼は続ける。
「私は、私のインテージを守らなくてはならないのだ」
私は自らの身体に彼の毒の棘が刺さっているのを見た。それを丁寧に剥すと、体内を侵食しつつある毒を自らの意思で分解し、消滅させる。
そして傍らに寝ている私のインテージ――クロを見遣ると、すぐに気付いた。
彼の記憶がごっそりと抜け落ちている事に。

しかし、それは置き忘れているだけだろう。
彼が襲われた、あの島に。

私は彼を大切に翼で包み込むと、私の居るべき場所へと向かうためその場から姿を消した。
 

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プロフィール
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年齢:
34
性別:
男性
誕生日:
1990/04/05
職業:
大学生
趣味:
野球・ポケモン
自己紹介:
Kです。
いろいろ生真面目な事を書くと疲れると思うんで、箇条書きでいいですか?いいですよね。

・野球とポケモンが好きです。
・野球はキャッチャーやってました。ミットを持つと人間が変わるとよく言われます(笑
・ポケモンはラプラス、バクフーン、ラティオス辺りが好み。
・すごくカッコイイかすごくカワイイが好き(笑
・カフェパのプロフナンバーは4。
・芸能人の三浦春馬と全く同じ日に生まれる。雲泥の年収差があってちょっと泣ける←
・音楽も好きです。
・好きなバンドはBIGMAMAとBUMP OF CHICKEN。
・他にも色々ありますが、一番好きなのはこの2つ。


こんなやつです。仲良くしてやってください。
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