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Cloudy――朝焼けの空
こんにちは。此処はKの運営するブログです。ポケモン系なりきりチャット「カフェパーティ」を知らない方、なりちゃ成分に抵抗がある方はブラウザバックを推奨します。

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SS.竜の話

真夜中にポケナビが鳴った。シロは夢から引き裂かれたような気持ちだったが、それを悔やむ隙もなくそのポケナビに応答すべく手を伸ばした。
「はい、No13医務室です」
「No17の竜騎士や。青葉2704で敵の偵察機を発見。これを撃ち落とそうとしたんだが、一匹と一人やられたんや。収容してもらってえぇか?」
「了解しました。こちらへは何分頃?」
「ヴィジールでこの位置と速度やから……15分ってとこやな」
「わかりました、待機してるんで安全確保を頼みます。こちらも警戒して待ってるんで」
「ありがとさん、通信終いや」

基地は蜂の巣を突いた騒ぎとなった。
狙撃兵は見張りとして壁の上を陣取り、相方のポケモンと共に西の空を睨んだ。
シロ率いる軍医達は白衣に身を包み、外に出た。
「戦闘機が相手だからな。恐らく7ミリ弾だろう……」
「摘出は何例こなしてる?」
「87例……ですが、機銃弾は初めてです」
シロは傍らの少年へ笑って見せた。
「誰でも初めてはよくある事。だけど、この患者を落とすわけにはいかないね」
途端に少年の顔が強張る。初めての経験を前に、冷静でいられるハズがないのだ。
しかし、それよりも辛く、激しい葛藤を引き起こすのが医療の現場だ。
この少年も既に100例近い手術を行ってきた。だが、後方の落ち着いた敵の攻撃の心配がない安全な場所でのそれと、前線で行うそれとでは全く違う。
いざ前線に彼が出た時に、死なないように指導してやるのも先輩の勤めなのだ。
「僕はヴィジールを診る。難易度はどっちが高いかは言わなくてもわかるよね?それじゃぁ、頑張ろう」
西の空に一匹の巨大な竜を護るように、何匹もの小さな竜がその周囲を飛んでいるのが見えた。
迎撃に飛び立ったNo17基地に所属する竜騎士の小隊だ。
ふらふらと飛ぶ大きな竜がヴィジールという種族の竜だ。大きさは大体頭から尻尾まで20メートルといったところだろうか。竜騎士曰く、速さと力強さを兼ね備えた理想の竜なのだとか。
そんなヴィジールがふらふらと飛ぶということは、それなりの痛手を負っている筈だ。
「担架準備。……それから、単位5から10に増やしておいて。」
細かな指示を出す少年。集中は切れていないようだった。
そして、低速で飛んできた彼は基地の前の広場に倒れこむ。その背中に乗っていたであろう兵士は、派手な赤色に染まって味方の肩を借りてようやくたどり着いた。
「止血優先!麻酔掛けて!……こりゃ、酷いな……」
シロもテキパキと指示を下した。
ヴィジールの状態は悪くない。機銃を5発程右から撃たれたらしく、弾痕が残っている。貫けてはいなく、機銃の弾丸ですら皮膚の浅い部分で食い込むように止まっていた。
こういう状態の時は、意外かもしれないが弾丸は抜かなくても良い。無理矢理抜かなくても、強靭な筋肉で異物を外に押し出してしまうからだ。
だが、1発の弾丸が厄介な位置に食い込んでいた。
「……1発背中に食い込んでいる。脊髄の近くだな……」
首に近い背中にそれはあった。
紺色の皮膚からどす黒い血を流して、30センチ程弾丸が埋まっているのが確認できた。
同時に麻酔を撃ち込んだのか、ヴィジールは大人しくなった。呼吸の音だけが聞こえて来る。
「麻酔を確認した。……背中の弾丸を摘出しよう」











「アーチャーからのレスが届いた」
パシン、と軽く電子パッドを叩いてからそれをレシフィールへと差し出した。
画面に映し出されているのは、戦艦強襲のために選ばれた先鋭の名前と代表者アーチャーからのメッセージ。
それを軽く眺めたレシフィールはクスクスと笑みを浮かべた。
「お酒は開けてもどうなるかしらね?私達はまだ20歳になってない者が多いのに。」
「全くだ。 ……しかし、大人は何か嬉しいことがあれば酒を飲みたくなるもんらしいぜ?」
馬鹿みたい……レシフィールが呟いた。
俺はその様子を見遣った後、置かれた電子パッドを手に取った。
「意味なんて、無いのにね」
部屋の外に声が漏れないような小声で。
しかし、それは誰しもが感じていること。
「指揮官としては……あまり宜しくない発言だな?」
気持ちは、個人としては痛いほどに理解できる。
だが置かれた立場は指揮官という責任のあるものだ。
自分の指示1つで何万という兵士を殺したり、殺されたりする立場。
「解ってる……アンタの前だから言ってるの。それだけ。」
ならいい。軽く促して、俺はレシフィールを見遣る。
「……姉さん、作戦は30日に決行だ。それまではなるべく島に行かないとな?」
姉さんの視線が俺にその言葉の真意を求めるようなそれになる。
しかし、答える前に部屋の扉がノックされた。
「失礼します……治療が終わったので、報告に」
扉が開き、見慣れた白髪の少年が姿を現した。
普段島で見る彼と唯一違う点は、真っ白な白衣や頭髪まで血で赤く染まってた事だろうか。
「どうだった?」
「ヴィジールは麻酔で眠っています。目が覚めたら、飛行訓練を軽く行って経過を見るつもりです。特に脊髄近い場所に弾丸が食い込んでたので、運動機能の確認は絶対に必要になると思います」
その報告に、レシフィールの表情が何処か和らいだのは言うまでもない。
「わかった。 では、竜騎士の方は?」
「0322に死亡を確認。原因は大血管の損傷による出血多量でのショック死。」
シロは持っていた紙を差し出した。
クロが受けとって、それを眺める。
「……そうか。ご苦労さん。」
17歳、あまりにも若すぎる最期だ。
「ヴィジールですが……彼の遺書にはこう書かれていました。『彼をありのままの姿で生きさせてほしい』と。」
共に戦うパートナーのために遺書を残す者も多い。
戦争という事実から生れつき逃れられない以上、その最期の言葉を込めた願いはなるべく叶えるのだ。
それ程迄に、命は重い。
「明日、ヴィジールには私から説明するわ」
「それがいい。……俺は、もう明日のために少し眠る」
「僕も当直が終わったから、寝ることにするね。 ……おやすみ」
重苦しい雰囲気と共に、切れる会話。
そして3人はそれぞれ別れて行った。













竜にも気持ちがある。
彼との間に結ばれたものは多い。
『また此処に居たの?』
人の声ではないその言葉で、レシフィールはヴィジールへと問い掛けた。
ヴィジールは月を背中に振り返る。紺色の巨体とそれに似合った翼が美しく動いた。
『我は機械ではない。』
『勿論理解してるわよ。ただ、私は一人の竜騎士として放っておけないだけ。』
自らが動き、彼の長い喉元にそっと触れた。
それを拒む事なく、しかしその気持ちを見透かされたような発言に酷く恥ずかしそうに視線を月に向けた。
『……人間は、我と違う』
身体の作りも、考え方も。
それが統一されていればともかく、個々が違う思想を持っている。人間は多く存在し、多くの者を見てきたが、同じ種族なのかも怪しいと思える思想を持っていると感じる事があった。
その彼の言葉を黙って私は聞いていた。
『竜は自らの種の繁栄のために動くということはない。他の種族、そして自然……それら全てを考慮に入れ、生きる。すると必ず全ての個体は種単位での統一された考え方が完成される。そうなれば、種の間で無駄な争いは起こらん。争いは喰う喰われるの関係と、雌を巡っての争いだけで十分だ』
竜には竜なりの生き方。人間には人間なりの生き方がある。
しかし、互いが寄り添う生き方が出来ること。それは彼女自身が証明していた。
『……人間は、どうして争いを止める事が出来ないのかしら』
『弱いからな。弱い種族程自分の身を守るためにせかせかと動き回る。知恵をつける。そして、喰われる事を回避する。……人間は、自らの命を守るために人間を殺す事を習得した。その力は今や食物連鎖の頂点に居る我等をも震わせる存在となった。……だが、それだけだ』

人間は弱い。だから相手を知ろうとせず、自分勝手に人間を殺せるのだ。
それが、人間の生きる術なのだ。

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プロフィール
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年齢:
28
性別:
男性
誕生日:
1990/04/05
職業:
大学生
趣味:
野球・ポケモン
自己紹介:
Kです。
いろいろ生真面目な事を書くと疲れると思うんで、箇条書きでいいですか?いいですよね。

・野球とポケモンが好きです。
・野球はキャッチャーやってました。ミットを持つと人間が変わるとよく言われます(笑
・ポケモンはラプラス、バクフーン、ラティオス辺りが好み。
・すごくカッコイイかすごくカワイイが好き(笑
・カフェパのプロフナンバーは4。
・芸能人の三浦春馬と全く同じ日に生まれる。雲泥の年収差があってちょっと泣ける←
・音楽も好きです。
・好きなバンドはBIGMAMAとBUMP OF CHICKEN。
・他にも色々ありますが、一番好きなのはこの2つ。


こんなやつです。仲良くしてやってください。
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