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Cloudy――朝焼けの空
こんにちは。此処はKの運営するブログです。ポケモン系なりきりチャット「カフェパーティ」を知らない方、なりちゃ成分に抵抗がある方はブラウザバックを推奨します。

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SS.ある高校生の一日



僕ら高校生はケータイの音には無駄に敏感な生き物だと思う。枕元に置いてあったそれが鳴ると、たとえ夢の中でもすぐに覚醒することができるのだから。

「ん……」

すぐ枕元に置かれたそのケータイを開く。聖也からのメールだ。

『今日は風邪って事にしておいてやったから(・∀・)ゆっくりとクロの背中で寝るといいぜ!(笑)』
「……クロさん!?」

ガバッと起き上がる。見慣れない部屋と上半身裸のクロが目に飛び込んできた。
僕は慌てて布団の中に舞い戻った。頭から被ってクロの適度に絞られた身体を見ないように努める。

「別に男同士なんだから見るのを拒否せんでも」
「今何時ですかっ!?」
「ケータイあるだろ。……まぁ、9時くらいだな」
「……、……」

最悪だ。学校は今から走っても遅刻は確定。サボったことなんて一度も無いから免疫が無い。そう考えるだけで胸がドキドキした。
でもこうなっては仕方が無い。覚悟を決めて布団から起き上がった。

「……!」

真っ白な制服に袖を通すクロ。それが軍の士官服だと梓もなんとなく分かった。
普段から黒に身を固めている彼だから、尚更そのギャップが激しい。これはこれで非常に似合うと梓は思った。

「そんなに不思議そうな目で見るなよ。こっちじゃ意外とこんな服も着るんだぜ?」
「……そうなんですか?」

あぁ、とクロは頷く。

「今日俺出掛けるし、訳ありで基地に殆ど誰もいなくなる」
「……はぁ」
「服はそこに俺の小さくなったやつで悪いけど用意してあるから」
「……はぁ」
「なんか食いたくなったら食堂行きな」
「……はぁ」
「そういうわけで、留守番宜しく」
「Σえぇっ!?」

一緒じゃないの!?なんて叫んでみたら、これから調印式に行くらしい。そこに梓は連れていけないと丁寧に拒否されてしまった。その前に調印式に行くくらい凄い人なのクロさん……。
そのままクロさんは外へ消えてしまった。
一人で残されてるのもなんだか虚しい。一日中何をやっていても良いらしいけど、逆にこんな異世界で何をやれば良いんだろう。
なんて考えた所で枕元に伏せた写真楯が置かれていた。
伏せている、ということは見てはいけないこと。それくらい分かっているつもりなんだけど……。

「……」

見てしまった。
多分、今から10年くらい前のクロさん。
そして、その傍らに居るのは両親……だろうか。
写真にレシフィールさん、シロさんは居ない。年齢的に考えて居なければおかしいのに……。
何故だろう。本当に見てはいけないものを見てしまったようで。学校に行かないのと同じくらいの罪悪感を覚えてしまった。



ベッドから出て着替えた。クロさんのお下がりと言われたその服はやはり真っ黒で。それでも若干大きいような気がした。
お腹が減ったので部屋を抜けて食堂へ向かうものの、広くて良くわからない。
ただうろうろと歩き回ってる間、見ず知らずのポケモンだけが廊下を擦れ違っていく。

「皆強そう……」

バシャーモ、ルカリオ、ニドキング。あまり街で見掛けることが少ない種族のポケモンがゴロゴロ。しかも図鑑で見るより大きな個体ばかりのように思える。……そういえば、クロさん達の仲間も普通より大きかったような。

「でも、琉川さんはあんまりこっちでも見栄えしない大きさだったよねー?」

足元をゆっくりと動く零央。子供だから僕よりも小さいラプラスだ。

「んー……なんでだろうね?」

よくわかんない。そうごまかした。



二人で寒い空気の中を歩いてると、やがて食堂にたどり着く。
しかし、ものすごく広い食堂には誰も居ない。何か食べれると期待していたけど、どうやらそんな空気では無いようだ。

「あ、良いものみっけv」

零央が壁に貼り付けられた地図を見つけた。
どうやら現在地は地図の真ん中にある建物、らしい。
そして周りには……

「森と、山と、湖しか無いや……」

山に囲まれ、その中心には森が広がり、北から流れ込む川でこの建物の東側には湖が広がっているようだ。
人工的に作られた建物はここだけらしい。



そんな経緯を経て、湖へ行ってみる事にしたのだ。
建物を出て、広場で戦うポケモン達を横目に東へ。森の中に一本の道があり、木のトンネルを僕らは歩いた。
普段住んでるところは都会に近い田舎だけど、此処は田舎とかそういうレベルじゃない。全く人間の手が及んでない、そんな表現の仕方が適切なくらいに自然のありのままの姿だった。
同時に水道、ガスが無いのは少し不便だなとも思う。だけど、耐えられない程度ではないかな。

「……梓!」

零央の声と同時に、綺麗な湖が広がっていた。
とても寒いせいかうっすらと表面に氷が張っている。
そして湖の淵に浮かぶ見慣れた姿があった。

「あ、コールド……」

さん、の言葉が浮かばなかった。
湖だけが荒れ狂う嵐の最中に捩込まれたかのように暴れ、白波を立たせて見たことの無いものが出現した。
筋肉の繊維が絡み付いた太い前脚。それから生える鋭利な黒爪は3本。いずれも木の幹くらい真っ二つに折れそうな程長い。岩盤のような強靭な青い鱗を持った身体は上半身しか湖面から出ていないにも関わらず既に木を見下ろすような高さだ。
圧倒される僕がそれを竜の一種だと認識するまでに、コールドは鮮やかに周囲の空気中の水分子を収束させ低温化。白光りする鋭い氷の粒を竜へと放つ。
鱗が若干ではあるが薄い喉の部位へ減り込み、肉をえぐった。
だが、それでも竜は微動だにせずにコールドを見下ろした。

「…………」

何か喋るが、僕らの耳には竜が唸る音にしか聞こえない。コールドも見上げたまま同様な声を発する。ラプラス特有の美しい鳴き声ではなく、コントラバスの不協和音が重なったような、竜のそれ。
恐る恐る木の幹から彼らへと向かうと、コールドがこちらに気付いたようだ。
竜へもう一度唸ると湖の淵まで泳いでやって来た。

「今日は……お久しぶりです」
「梓。そして零央か……まさかこんなところで出会うとは思わなかったな」

ふふ、と笑みを浮かべるコールドを見てホッとした。僕に気付いていない彼の表情は島で見る彼の表情とは全く異なるものだったから。思わず声を掛けるのも躊躇う程に恐ろしい形相だった。
そんな表情を見たはずの零央だが、自然と彼の姿を見ると湖へと入る彼の喉元へ頬を擦り寄せた。
コールドもまた、彼の頭へと頬を擦り寄せる。

「……」

その時、後ろで竜が唸った。それとほぼ同時に巨大な身体をくねらせ、水中へと水しぶきと共に姿を消した。
僕は呆然とその姿を見送る。

「あれは、水中に住む竜だ。他の小型の竜を補喰して生活している。幸いにも俺達は竜とは共存関係にあるが故に、襲われないけどね」
「はぁ……」

此処へ来てからというものの、驚きっぱなしな気がする。少しずつ自分の住んでいる世界が遠い存在に感じてしまう。



コールドと一緒に居たいという本人の希望から零央と別れ、再び建物へと戻ってきた。
戻って来ると、調度此処に居た人達が戻ってきていた。翼の生えた竜や、クロさんを思わせる巨大な狼の背に跨がった彼らは見ていてなんだか凄いと思った。
その中の一匹が、こちらへとやって来る。それでも逃げ出したりしないのは、その黒銀の毛並みを持つ狼は特別な存在で、昨日僕を運んできた張本人であることをすぐに見抜けたから。

「よう、梓。今戻った」
「お帰りなさい、クロさん……」

ふふっ、と笑った狼は僕の顔を鼻で突いて来る。それに答えるように僕もその鼻の辺りを撫でた。


長い戦争が終わったと知り、その夜は外で派手にパーティーを行った。
僕と同じくらいの少年達は嬉しそうに笑みを浮かべていたのだった。

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プロフィール
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年齢:
28
性別:
男性
誕生日:
1990/04/05
職業:
大学生
趣味:
野球・ポケモン
自己紹介:
Kです。
いろいろ生真面目な事を書くと疲れると思うんで、箇条書きでいいですか?いいですよね。

・野球とポケモンが好きです。
・野球はキャッチャーやってました。ミットを持つと人間が変わるとよく言われます(笑
・ポケモンはラプラス、バクフーン、ラティオス辺りが好み。
・すごくカッコイイかすごくカワイイが好き(笑
・カフェパのプロフナンバーは4。
・芸能人の三浦春馬と全く同じ日に生まれる。雲泥の年収差があってちょっと泣ける←
・音楽も好きです。
・好きなバンドはBIGMAMAとBUMP OF CHICKEN。
・他にも色々ありますが、一番好きなのはこの2つ。


こんなやつです。仲良くしてやってください。
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