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9月16日の続き。
レイエルのその後。
「……何故、私の元へこのような存在を?」
「お前しか頼れる存在は居ねぇんだ……」
思案顔のアグノムは、そのクロの手の中に居る同種――レイエルを見下ろすと小さく首を振った。
「貴方は、どうしてグラティスに見つかるというリスクを考えないのですか?」
呆れたような目でクロをふわふわと浮びながら見下ろすアグノムの視線は冷たいものだった。
世界を統治する伝説のポケモン達の間で最大のタブー。それは他世界から現れた伝説を擁護するという行為そのものである。
この世界ではこの世界に元々住んでいるであろう伝説であろうが、他世界から来た伝説であろうが統治をする事はできる。すなわち、他世界からの伝説のポケモンを擁護するということは自世界のその種族を否定することになってしまう。
これは、あまりにも高いリスクを背負った賭けであった。
だが。
「……レイエルは、俺にとって大切な存在なんだ。 ……頼む、暫く世話を見るだけでいいんだ」
「そうは言われても……私と私のインテージにも迷惑がかかるかもしれない」
もっともな意見である。クロは小さく俯いて、自分の腕の中ですやすやと寝息を立てているレイエルを見下ろした。
最悪、俺が擁護するかグラティスに話すか。或いは今から引き返しやはり預かることは出来ないとつき返すか。
前者の場合、自分とレイエルは消滅する可能性は極めて高い。
後者の場合、誰につき返す?自分が出来る事ではないのだと結論が出た。
僅かな可能性に掛けて自らの手でレイエルを擁護しよう。そう考えた次の瞬間だった。
「……いや、やっぱり私が預かるよ」
柔和な笑みを浮かべてアグノムはレイエルを掻っ攫った。幸いレイエルは起きなかったが、クロは手の中のレイエルが一瞬消えたようにも感じて驚いていた。
それ以上に、この役割を引き受けてくれたことに驚いていたのだが。
「……何故?」
「同種だしな、深い意味は無い。 それから、お前が私に望むならでいいのだが……」
動きを止めたアグノムはクロを見下ろして瞳を細くしてクロを見下ろした。
「お前の翼、私に寄越せ」
深く眠りについていたレイエルが目を覚まし、始めに飛び込んできたのは真っ白な毛布、枕、シーツ。ご丁寧に自分と間違えそうなくらい精巧なアグノム抱き枕まであった。使ってなかったけど。
ふわりと浮かび上がりベッドから飛び上がる。デスクとベッドと扉しかないくせにちょっと広めの部屋。全体が真っ白に統一されていて、ちょっと不気味な空間には照明器具もないのにそれなりに明るい空間だった。
まだ少し肩の辺りが重いと思い、眺めてみる。そこには見覚えの無い真っ赤なスカーフが巻かれていた。
「……なにこれ」
外そう、と手を伸ばした瞬間に扉から不意にノックの音が転がり込んできた。
振り返り、怪しげにドアを眺めてからサイコキネシスで扉を開いた。
「お目覚めでしたか?」
「誰」
その男が誰なのかはさして重要でない。クロか否か。その一点のみが今のレイエルにとって重要な事だ。
そして、部屋に入って来た男はレイエルは全く知らない男だった。
不気味な程に柔らかい微笑みを武器に一礼する彼は、一瞬攻撃に来るのでは無いかと錯覚しかける程だ。
「誰?」
もう一度問う。
男は軽くレイエルに視線をやった。
「リィ様のインテージであるリキッドと申します。この度は驚かせてしまい申し訳ありませんでした」
「……そう。クロは?」
とにかくクロは何処なのか。それが知りたい。こんな見ず知らずの男と一緒に居るだけで不安になる。
与えられた問いに、
「クロ様は多忙のため、此処にはいらっしゃいません。貴方はリィ様がお引き取りしました。どうぞ、こちらでごゆっくりと養生なされて下さい」
「……へ?」
話が良くわからない。クロが僕を預かるのではないのか。てか先ずリィって誰だ!?
混乱する頭をフル回転させ、とりあえず逃げるという選択肢に行き着いた時、全くレイエルにとって予期しない者が部屋に入って来た。
同種なんて見た瞬間に分かる。なんでこうなるのかは解らないが、更に頭が混乱した事は確かなようだ。
そのアグノムは若干レイエルを見下したような視線を向けてから、リキッドへ視線を向けた。
「嘘は通用しなかったのね?」
「はぁ……やはりクロ様がいらっしゃらない事は大きいようですね。完全に私達を敵視しているようです」
「わかった。リキッドは下がりなさい。そして、昼食の準備でもしてなさい」
畏まりました。一礼し、リキッドはコツコツと革靴を鳴らして部屋を出て行った。
それを横目で眺めるリィを不思議そうに見るレイエル。
相変わらず頭は混乱しているが、同種とまさかこんなところで出会えるとは思っていなかったので、心情はかなり穏やかになったと思う。
「……リィって言うの?」
横目で見ていたリィがレイエルを見た。
いかにもお嬢様といった口ぶりで、そうよ。と一言。
そしてお嬢様のように飛んでベッドに腰掛けた。
視線でレイエルも隣に来いと誘われ、彼はその誘いに乗った。
「勘違いしないで。此処に貴方が預けられたのには少し複雑な理由があるだけで、インテージ……クロが単に面倒とかそういう下らない理由で預けたわけじゃないから」
「……複雑な理由……」
レイエルは小さく呟いた。
その問に彼女は頷いた。
「この世界は、彷徨いこんできた貴方だって統治できる。だから、そんな存在を認めるわけにはいかない……私達にとって貴方が今此処に居る事だけでタブーなのよ。でも、周りの伝説にはまだ何も知られていない。私が貴方の存在をその紅いスカーフで隠しているからね。よっぽどの事が無い限り、それは取っちゃダメよ」
一通り軽く説明し終え、レイエルが別の質問をしようとした時に扉の向こうからいい香りが漂ってきた。
本当にリキッドは昼ご飯を作っていたのだろうか。
いずれにせよ、気付いたら腹の虫が鳴るほどにお腹が空いていた。
「……とりあえず、何か食べたい……かも」
「さっきの男……リキッドは私の執事のような男だから。何かあったら貴方をサポートしてくれるはずよ」
お腹を眺めているレイエルの手を握り、キッチンへ向かう。
其処には昼食とは思えない程の料理があり、レイエルも倒れるほどにお腹に詰め込んだのだった。
Comment
いろいろ生真面目な事を書くと疲れると思うんで、箇条書きでいいですか?いいですよね。
・野球とポケモンが好きです。
・野球はキャッチャーやってました。ミットを持つと人間が変わるとよく言われます(笑
・ポケモンはラプラス、バクフーン、ラティオス辺りが好み。
・すごくカッコイイかすごくカワイイが好き(笑
・カフェパのプロフナンバーは4。
・芸能人の三浦春馬と全く同じ日に生まれる。雲泥の年収差があってちょっと泣ける←
・音楽も好きです。
・好きなバンドはBIGMAMAとBUMP OF CHICKEN。
・他にも色々ありますが、一番好きなのはこの2つ。
こんなやつです。仲良くしてやってください。